ウェルネス開発室

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最新の健康科学に裏付けられた実践的なプログラムを開発し、健康づくりの普及啓発を目指しています。

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健康づくり成果

プログラム成果

  1. 身体活動量計でわかる、運動習慣のさまざまな変化
  2. 身体活動量計で歩きの「質」がわかる
  3. 運動の「量」だけでなく、「質」を高めることが大切
  4. 動脈硬化度は運動の継続で改善する
  5. 若い人ほど運動後すぐに動脈硬化度が下がる
  6. 血管が若々しい人は、日常の身体活動量が多い
  7. 若々しい血管でいるためには、運動の「質」が大切
  8. ウォーキングの適した速さは、個人差が大きい
  9. 生活習慣病の予防・改善には、どのくらいの運動量が必要か
  10. 軽い体操でもストレス度や気分は変わる
  11. 軽い体操で睡眠や心の健康に効果を確認

1.身体活動量計でわかる、運動習慣のさまざまな変化

 「歩くことは身体に良い」と頭ではわかっていても、ウォーキング習慣を身につけるのは難しいものですが、行動を変えやすい"しかけ"(行動変容技法)があると自然にできるものです。たとえば、「自分でできそうな目標を自分で設定する(ゴールセッティング)」「身体活動量計で歩数や運動量を測定・記録する(セルフモニタリング)」などが役立ちます。

 ただし、日頃から活動不足の人と活動的な人とでは、ウォーキングの変化のしかたが同じではないことがわかりました。

 一歩一歩の着地衝撃の強さがわかるライフコーダを使って、活動レベル4段階の実施時間の変化を3週間にわたってみてみました。

 日頃から「活動不足」なグループは、じっとしている時間が減って、低・中・高強度のいずれの活動時間も増加しました。「標準的」なグループは、じっとしている時間が減って、その分、速歩の時間が増えました。もともと「活動的」なグループでは、安静時間が減って、その分は普通歩行、速歩の時間に分散したようです。


日頃から活動不足な人と活動的な人は、活動状況の変化が異なる。

2.身体活動量計で歩きの「質」がわかる

 健康づくりは、身体活動を確保することが大切です。ただし、運動は「量」と「質」の両面から評価することが重要だと考えています。

身体活動量計を用いた算出式
「量」=運動量÷体重 ・・・1日に体重の何倍のエネルギーを消費したか
「質」=運動量÷体重÷歩数×1万歩 ・・・1万歩で体重の何倍のエネルギーを消費できるか

 運動量は、加速度センサ方式の身体活動量(エネルギー消費量)計で求めることができます。同じ歩数でも、歩き方に応じて運動量が異なるのがわかります。

 これを「質」とすると、この「質」の指標は、物理的な強度指標である歩行速度や生体的な強度指標である心拍数と高い相関関係があります。つまり「質」は、運動強度の指標といえることになります。


「質」は、歩行速度や心拍数と関係が深く、強度を表す指標といえる。

身体活動の「量」と「質」を活用し、楽しみながら運動を続けるための日常生活型プログラム「ヘルスアップMYレージ」を実施しています。

3.運動の「量」だけでなく、「質」を高めることが大切

 健康づくりには、身体活動量を「量」だけでなく「質」も確保することが重要なポイントです。生活習慣病や動脈硬化に対する運動の効果として、HDL(善玉)コレステロールが増えることがあげられます。

 3ヵ月間の運動教室で、運動の「量」が大きいグループは、HDLコレステロールが増加していました。一方、量が小さいグループでも、「質」が高い人はHDLコレステロールが増加し、HDLが低下したのは「量」と「質」ともに小さいグループのみでした。HDLコレステロールが運動で増加するには、むしろ「質」が高いことの方が関連が大きいようです。


運動の「量」が少ないグループでも、
「質」を高めることでHDLコレステロールの増加がみられた。

4.動脈硬化度は運動の継続で改善する

 動脈硬化予防のために運動をすることは、新しい健康づくりといえます。
 では、動脈硬化が進んだ血管は、改善できるのでしょうか。
 動脈硬化の新しい指標CAVIが、運動で低下することがわかりました。実施した運動はMYヘルスプログラムです。
 自分に適した運動習慣を身につけることが、「血管の健康づくり」となるのです。


動脈硬化度が高いグループ(動脈硬化の疑い)は、運動を始めて約3ヵ月で改善し18ヵ月目まで改善効果を維持することができていた。

運動で動脈硬化度が改善する理由

 動脈硬化の予防・改善には有酸素運動が効果的です。運動によって動脈硬化が改善するメカニズムはまだ不明な点もありますが、運動で血流量が増えると血管の内皮細胞に摩擦(ずり応力:fluid shear stress)が生じ、血管を柔らかくする働き(弛緩拡張作用)をもつ「一酸化窒素(NO:nitric oxide)」が増えるためと考えられています。また、血管を硬くする物質の中でも特に強力な血管収縮作用をもつ「エンドセリン(ET: plasma endothelin-1)」を減少させる効果もあるようです。

 このように、運動には食事改善では得られない動脈硬化改善効果が期待できます。

5.若い人ほど運動後すぐに動脈硬化度が下がる

 運動を継続すると血管の動脈硬化は予防・改善できそうです。これは、1回1回の適切な運動刺激の積み重ねによって、長期的な運動効果に結びつくものと考えられます。そこで、一定の運動前後で血管の硬さの変化を調べたところ、若い人ほど動脈硬化度(CAVI)が短時間で低下することがわかりました。運動直後に血管がやわらかくなるのが血管が若々しいということなのでしょう。


運動直後に、40・50歳代、60・70歳代に比べて30歳代の方が、
動脈硬化度の低下が大きかった。

6.血管が若々しい人は、日常の身体活動量が多い

 若い人ほど動脈硬化度(CAVI)は低く、運動後にさらに低下します。しかしながら、中高齢者になると一人ひとりを個別にみると、運動後に低下するどころか増加する人がいます。この違いはどこにあるのでしょうか?

 60・70歳代(平均年齢69.0 ± 4.1歳)のウォーキング習慣者を対象として調べてみました。

 同年齢の中でも血管が若々しく、さらに、運動直後にもCAVIが低下するには、日頃からよく歩いていることが必要のようです。


同年齢の人に比べて動脈硬化度が低く、さらに、一定の運動直後に動脈硬化度が低下したグループは、1日1万歩、体重の5倍以上の運動量を確保しており、歩数や運動量が多い。

7.若々しい血管でいるためには、運動の「質」が大切

 加齢による動脈硬化度の上昇を抑えられる人と抑えられない人の違いはどこにあるのでしょうか?

 平均年齢66歳の中高年者を対象に、1年間の動脈硬化度の変化と日常の身体活動を調べたところ、「質」の高い歩き方をしている人ほど1年間で動脈硬化度が低下する傾向がみられました。“「質」が高い歩き方”とは、同じ一歩でも運動量の多い歩き方のことで、速歩のウォーキング習慣が、若々しい血管を保つ秘訣のようです。


「質」が高いほど、加齢による動脈硬化度の上昇を抑えることができていた。

8.ウォーキングの適した速さは、個人差が大きい

 健康づくりとして、適した速度でウォーキングをしていますか?

 おすすめの運動強度は、安全で効果的なDPBP強度です。DPBP強度の歩行速度をみると、約150人の平均値では男女ともに分速90m程度でした。ただし分速40mの人もいれば、125mとなった人もいます。一人ひとりの個人差がたいへん大きいことがわかります。

 運動・身体活動の強度の指標に「メッツ」があります。安静時の何倍のエネルギーを消費するのかというものです。一般的に速歩は4メッツとされていますが、DPBP強度のメッツを求めてみると、低い人では3.2メッツ、高い人では5.2メッツとなりました。適したメッツも一人ひとり違うので、ぜひ測ってみたいものです。

9.生活習慣病の予防・改善には、どのくらいの運動量が必要か

 生活習慣病の予防・改善のためには、どのくらいの運動量が必要なのでしょうか?

 健康づくりのための身体活動と運動の基準となるガイドラインのひとつに“身体活動基準2013があります。
最適ウォーキング」の150人の測定データから、ゆっくりした歩行速度と考えられる分速60m/分で、身体活動基準の“週に23メッツ・時”分を確保するには、平均7947歩/日となりました。しかし、個別にみると、少ない人では5656歩/日、多い人では10745歩/日と個人差がみられました。

 さらに、適切な運動強度と考えられるDPBP強度(おすすめ運動強度)では平均4.4メッツとなり、その強度で身体活動基準の4メッツ・時/週に相当する時間は59分/週でした。ただしDPBPのメッツを一人ひとりみると、4メッツ・時/週は5.2メッツの人では28分/週ですむのに対し、3.2メッツの人では122分/週が必要となりました。身体活動基準の中では、“速歩(4メッツ)なら1時間”とされています。平均値はまさにその通りですが、個別に求めることが望ましいといえます。

※「健康づくりのための身体活動基準2013」

 通常、身体活動量を表す単位は「カロリー(kcal)」と表しますが、身体活動基準では「メッツ・時」と表現します。強度を示すメッツとは、安静状態のエネルギー消費量を1としたとき、その何倍に相当するかを表すものです。

 生活習慣病予防として、身体活動量は3メッツ(普通歩行)以上の強度で週に23メッツ・時以上、運動量は週に4メッツ・時(メタボリックシンドローム改善のためには10メッツ・時)以上必要だとされています。

10.軽い体操でもストレス度や気分は変わる

 唾液中のストレス物質“アミラーゼ”は、心や身体にストレスがあると高い値になり、ストレスが減ると低くなります。リラックス&リフレッシュ体操の前後でストレス度測定と気分チェックをしたところ、ストレス度の低下がみられ、気分が良好な状態になりました。軽くからだを動かすことが心の健康に有効であることがわかりました。

グラフ ストレス度の変化(リラックス&リフレッシュ体操前後)

 ストレス度が高いグループは、体操後にストレス度が低下しました。
 また、ストレス度が低いグループでも、6割の人に少なからず低下がみられました。

気分の評価(MCL-S.2)

 「快感情」「リラックス感」「不安感」について、それぞれ4つの質問項目があり、回答の合計得点で評価をします。

グラフ 気分の変化(リラックス&リフレッシュ体操前後)

 ストレス度が高いグループも低いグループも、体操前に比べて体操後に、「快感情」と「リラックス感」が高まり、「不安感」は低下を示し、気分が良好な状態になりました。

11.軽い体操で睡眠や心の健康に効果を確認

 良い睡眠は、生活習慣病など身体の健康だけでなく、心の健康にも重要といわれています。運動は、生活習慣病予防だけでなく、睡眠や心の健康にも良い影響を及ぼすことが期待されていますが、気分が落ち込んでいる時や体調が良くない時には、運動をする気になれないものです。

 そこで、寝たままでできる「リラックス&リフレッシュ体操」を考案しました。快眠講座にご参加いただいた方々にご協力いただいて、睡眠状況や心の健康に良い変化がみられるのかを確認しました。

 「リラックス&リフレッシュ体操」を3週間継続したところ、寝つきや睡眠の質が不良のグループでは改善がみられ、抑うつ度に関連する心の健康が良好に変化しました。

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