公益財団法人 明治安田厚生事業団

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健康づくりウォッチ

世界が注目する日本の体力事情

現在の高齢者は、19年前と比べて握力が4.5%高いことが判明
欧米諸国は握力低下、日本では握力向上、その秘密とは?

体力の進化論:私たちの体力はどのように変化しているのか?


多くのメディアで体力低下が叫ばれて久しいですが、私たちの体力はどのように変遷してきているのでしょうか。そこで私たちは、文部科学省(現 スポーツ庁)が毎年実施している「体力・運動能力調査」のデータを分析し、高齢者の体力がどのように変化しているのか検討しました。対象は、1998年から2017年における計17万6449名の日本人高齢者(60-79歳)としました。なお、これまでの研究より、握力の低下が様々な病気(高血圧、2型糖尿病、脳血管疾患、ガン等)のリスクを高める可能性が報告されているため、握力に着目して解析を行いました。

過去19年間で握力向上:特に70歳以上で著しい増加傾向!


専門的な統計解析の結果、過去19年間で高齢者の握力が大きく向上していることが明らかになりました(4.5%増)。また、握力の増加は曲線的であり、特に近年(2008年以降)の増加が顕著であることが示されました(図1)。年代別に見ると、70歳以上の握力の増加が著しく、同期間内に6.2%の増加が見られました(図2)。
高齢者における握力の年次推移を検討する研究は、欧米諸国(カナダ、英国、中央ヨーロッパ諸国)を中心にいくつか報告がありますが、こうした研究のほとんどで「握力低下」が報告されています。一方、日本人高齢者では「握力向上」が確認され、その秘密について、世界各国の研究者が注目しています。最大筋力の指標である握力には、日頃の運動習慣が強く影響するとされており、日本人高齢者における運動・スポーツ参加の増加が1つの要因として考えられています。世界に誇れる好事例として、今後も我が国の体力づくりの取り組みが推進していくことを期待しています。


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著者
城所哲宏 Kidokoro Tetsuhiro
公益財団法人 明治安田厚生事業団
体力医学研究所 研究員

専門分野 発育発達学
主な研究テーマ 身体活動、座位活動、体力、子ども
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