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学会レポート

第12回日本運動処方学会レポート

11月に岡山県で開催された日本運動処方学会大会で発表をしてきました。

開催日:2014年11月8日~9日
会 場:川崎医療福祉大学

日本運動処方学会は毎年、岡山県の川崎医療福祉大学で行われ、今年で12回目を迎える学会です。運動指導現場からの発表が多い特徴がある学会で、和やかな雰囲気のなか、熱いディスカッションが交わされました。
私は、今回初めての参加で、緊張感たっぷりのなかでの発表となりましたが、学会賞「小野三嗣賞」の名誉ある第1号に選んでいただきました。

テーマ:「乳がん手術経験者のNarrative Based Case Study」

レポート:加藤 由華

乳がん手術経験者への運動処方には、がんに罹患したことを契機とした健康度の変遷を個人個人考慮することが望ましいと考えて、私たちは取り組んでいます。最近、医療の現場ではナラティブという個別対応を重視した考え方が取り入れられており、運動処方の現場においても広めていきたいと考えています。
今回発表したのは、私たちの運動教室参加者の事例です。乳がん手術経験者の過去から現在までを振り返る調査をしました。その結果、告知後さらには手術後に顕著な健康度の低下がみられたものの、手術後9年経過した現在の健康度は手術前よりも良好で、運動実践の効果があるとみることができました。このような運動効果はガイドラインなどのエビデンスと個人の実状を踏まえた運動処方から得られたものとして、その経緯を整理しました。
今回の学会賞を受賞できたことは、現在だけでなく、個々の生涯に目を向けた新しいナラティブ(物語り)な理論に基づいた運動処方の大切さを伝えることができたものと思います。

テーマ:「軽体操およびマイクロ・ムーブメントにおける気分の変化」
レポート
:小野寺 由美子(ウェルネス開発室副室長)

運動は気分や心の健康に有効であることが明らかになってきました。私たちは、気分が落ち込んでいるときにはあまり動きたくないものと考えて、まずは座ったままできる体操を提案し、ストレス度や気分が良好になることを学会で発表してきました。今回はさらに身体を自由に動かせないような看護や介護の現場など、体操を行うことが難しい状況でも実施可能な方法を検討しました。
それは横になったままで行うことができるマイクロ・ムーブメントという方法で、自分の呼吸や緊張している身体の部分に意識を向けたり、誰かに触れてもらったり軽く動かしてもらうような微細な動きを取り入れたものです。マイクロ・ムーブメントを実施した結果、気分が良好となることが確認でき、それは軽体操と同程度の効果でした。
マイクロ・ムーブメントは、看護や介護の現場でも身体から心にアプローチするメンタルヘルスケアに役立つものと考えられました。

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