公益財団法人 明治安田厚生事業団

お問い合わせ

  • 公益財団法人 明治安田厚生事業団 03-3349-2741(代表)
  • 体力医学研究所 042-691-1163
  • ウェルネス開発室 03-3349-2741

平日9:00~17:00(年末年始、祝休日を除く)

健康づくりウォッチ

在宅勤務に襲いかかる不活動の脅威

在宅勤務が広まるなかで、最近の研究から「不活動の問題」が思ったよりも大きいことがわかってきました。

在宅勤務で歩数が半減!?


これまでの研究から、在宅勤務の実施によりワークライフバランスが整うことや、食生活や睡眠時間が改善する可能性があることが報告されています。しかし、在宅勤務はいいことばかりではないようです。私たちの研究では、加速度計を用いて、勤労者およそ1,100名の身体活動を測定し、データを分析しました。その結果、毎日在宅勤務を行う人の1日あたりの歩数は、毎日出社する人に比べて半分以下であることがわかりました(図1)。また1日あたりの座位時間は、毎日出社する人の平均が9時間半程度だったのに対し、毎日在宅勤務をする人では11時間となり、1日あたり1時間以上多いこともわかりました。座りすぎをはじめとした不活動状態はさまざまな疾病のリスクを高めることが分かっており、在宅勤務が長期化し身体を動かす時間が減ることで、様々な不健康状態へのリスクが高まることが危惧されます。



在宅勤務の影響が大きいのはアノ人たち…


さらに、在宅勤務による不活動化が顕著な人の特徴について分析しました(図2) 。例えば年齢別に身体を動かしている時間をみると、毎日出社する人に比べて、週1日でも在宅勤務を行う39歳以下の人では一日あたりの活動時間が48分少ないのに対して、40歳以上では70分も少なくなりました。性別でみると、男性では1日あたり45分少ないのに対して女性では80分も少なく、著しく差があることがわかりました。また生活習慣の改善に対する関心が低い人の活動時間が少ない点も見逃せません。



例に挙げた特徴にあてはまらなくても、在宅勤務中に「長時間座っているな」と感じたら立ち上がったり、通勤していた時間をウォーキングに充てるなど、意識的に身体を動かすことを心がけましょう。



【出典】北濃ら, 令和4年度厚生労働科学研究費(労働安全衛生総合研究事業)分担研究報告書. 2023


本研究は、厚生労働科学研究費補助金研究事業「テレワークの常態化による労働者の筋骨格系への影響や生活習慣病との関連性を踏まえた具体的方策に資する研究」(研究代表者:甲斐裕子)として実施されました。


※PDF版はこちら

著者
北濃 成樹 Kitano Naruki
公益財団法人 明治安田厚生事業団
体力医学研究所 研究員

専門分野 スポーツ科学、睡眠医学、疫学
主な研究テーマ 身体活動や運動による睡眠改善と不眠予防、睡眠が心身の健康に及ぼす影響
ページの先頭へ戻る▲