公益財団法人 明治安田厚生事業団

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健康づくりウォッチ

体内時計と運動をするタイミング

健康のために運動を行っている人は多いと思います。厚生労働省の「健康づくりのための身体活動基準」の指針では、年齢に合わせて、65歳以上は毎日40分、64歳以下は毎日60分となっていますが、実施するタイミングの記載はありません。

注目したい運動実施のタイミング



運動がメタボリックシンドローム、高血圧、サルコペニア予防に寄与することから、運動の量、質、強度などが議論されてきましたが、エビデンス不足もあり、実施のタイミングについては注目されてきませんでした。
ここでは、断片的な研究成果ですが、体内時計と運動の関係を調べた「時間運動学」の現状についてご紹介します。

「時間運動学」からみた効果的な運動時間



脳の視交叉上核(中枢時計)は朝の光で前進させ夜の光で後退させるので、朝の光が朝型に寄与し、夜の光が夜型に寄与します。運動も同様に実施する時間の違いによって肺、肝臓、骨格筋、血液などの組織(末梢時計)を前進させたり、後退させたりします。中強度のトレッドミル運動(1時間を3日間)は、午前中から昼の時間帯では「前進」、夜の7時から夜中で「後退」させます。また、朝型の人はより朝に、夜型の人はより夜に運動します(図1)。

一方で、運動の健康増進や疾患予防に効果的な実施のタイミングも気になります。図2に示すように血糖値低下、インスリン感受性改善、脂肪分解、LDLコレステロール低下、中性脂肪低下、筋肉量の増大、腸内細菌の多様性増大のいずれも、朝より夕方の運動が効果的です。
ほとんどの運動が夕方のほうが効果的なのですが、朝食前の運動は脂質酸化を促進させます。調査研究で、高血圧は夕方の運動と負の相関があるので、高血圧予防には、夕方の運動のほうがよいかもしれません。

【出典】Kimら, Sports Medicine and Health Science(2023)、 Imamuraら, Frontiers in Physiology(2022)


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著者
柴田 重信 
広島大学大学院医系科学研究科 特任教授
早稲田大学 名誉教授
専門分野 時間栄養学、時間運動学
主な研究テーマ 体内時計と健康にかかわる分野の研究
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