公益財団法人 明治安田厚生事業団

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健康づくりウォッチ

体内時計と食事をとるタイミング

健康のためにタンパク質は60g以上、エネルギーは1,800kcal程度といわれますが、果たして朝食・昼食・夕食に3等分すればよいのか、朝型人間だったら朝に多いほうがよいのかと悩むものです。

「時間栄養学」の創生


1日のリズムを刻む仕組みが体内時計で、それを動かす時計遺伝子の発見が2017年のノーベル医学生理学賞の受賞につながりました。
体内時計は食行動や代謝をコントロールしているので、食や栄養素は量や質だけでなく、食べるタイミングが重要です。私たちは食・栄養と体内時計の相互作用を調べる学問として「時間栄養学」を創生しました。

体内時計は24時間より15~30分長いため毎日前進させて合わせる(リセット)必要があります。脳の視交叉上核(中枢時計)は朝の光で、肝臓、膵臓、腎臓などの臓器(末梢時計)は、朝食でリセットできます(図1)。朝食の内容では、糖質・タンパク質が主に、魚油のDHA/EPA(ドコサヘキサエン酸/エイコサペンタエン酸)、水溶性食物繊維などが補助的に働きます。
一方で、機能性食品や栄養素の効果的な摂取タイミングも気になります。リコピン、DHA/EPA、セサミンなどはいずれも夕方より朝の摂取が効果的です。朝食時は夜間に溜まった胆汁の手助けで脂溶性の物質の吸収がよいのです。一方、カルシウムの吸収は夕方がよいので、骨粗鬆症には夜の低脂肪乳がよいかもしれません。

朝・昼・夕・間食の時間栄養学的注意点を示しました(図2)。毎日の食事を時間軸で記録しアドバイスするアプリを活用した「時間栄養学」による健康科学が台頭しています。

図1 光や食事による体内時計のリセット



図2 時間栄養学による各食事の注意点や特徴のまとめ


【出典】柴田重信,脂肪を落としたければ食べる時間を変えなさい.講談社α新書 (2022)


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著者
柴田 重信 
広島大学 医系科学研究科 特任教授

専門分野 時間栄養学、生理学、薬理学、神経薬理学、細胞生物学
主な研究テーマ 健康科学に寄与する時間栄養学・時間運動学の開発研究 

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