公益財団法人 明治安田厚生事業団

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研究所レポート

藤井研究員に聞きました

藤井研究員は2021年度に体力医学研究所に着任しました。現在取り組んでいる研究や今後の目標について伺いました。



藤井さんは、あまり研究者っぽくないようなところがありますが、研究者を志したきっかけなどがありますか?

大学時代の卒業論文発表のとき、思いのほかプレゼン能力を評価され、周りから褒められました。これで自分には研究者としての才能があるのでは?と勘違いしたのがきっかけです。笑

修士・博士課程を通じて、研究の面白さや、考えること、議論することの楽しさを味わうことができ、今では楽しく研究活動に取り組んでいます。

研究所の雰囲気をどう感じていますか?

皆さんフレンドリーで、年齢・性別などの垣根なく議論でき、風通しのいい空気感が最大の魅力です。

また、プロジェクト研究としてチームを組んで研究をすることが多く、研究員同士だけでなく、研究技術員や事務の方からも手厚いサポートをしてもらえるのは、ほかにはない恵まれた環境だと思います。資料の作成や研究に必要な手続きなど、正直、面倒だと思うことも..(小声)、快く引き受けてくれ、かつクオリティが高いので非常に助かっています。

現在どんな研究に取り組んでいますか?

現在は、主に勤労者の運動習慣化を目的とした研究に取り組んでいます。働き方改革が進んでいるとはいえ、まだまだ忙しくて時間がない現役世代が存在しています。そういった方がたに、いかに運動を楽しんでもらうか、そして生涯現役で人生を謳歌してもらうか、という思いをもって日々研究をしています。

とりわけ、筋力トレーニングをより多くの人に広めたいというミッションに向かって研究を進めています。

なぜ筋トレ、なのですか?

筋トレはマイナスをゼロにするのではなく、プラスに転じる要素が大きく、ひいてはそれがwell-beingにつながると考えているからです。例えばダイエットをしようと思ったとき、有酸素運動で痩せても、よりよい体になるには不十分です。しかし、筋トレを合わせて行うことで、引き締まった良い体になることができます。これはまさに、自らの実体験で効果を確信した部分でもあります。笑

また、スポーツ実施率に関する全国調査のデータを分析した際に、週に2日以上筋トレする人は、過去14年間で右肩上がりであるものの、いまだわずか10%に満たないことを確認しました(図1)。欧米諸国での実施率は大体20-30%程度であると報告されていることを踏まえると、まだまだ伸びしろがあると感じます。今後筋トレを始めたいと考えている日本人も、若い世代の男女を中心に年々増加しているので(図2)、そういった人たちにしっかりとアプローチできるような研究をしていきたいです。



運動疫学という分野で「筋トレ」をテーマにしている人はあまりいないですよね

そうですね、特に日本では筋トレに関する研究はまだまだ少ないのが現状です。これから筋トレ研究を盛り上げていくうえでは、筋トレに対するイメージやリテラシーの問題をクリアしていかなければならないと感じています。残念ながら、筋トレ=キツイ、汗臭い、ムキムキ?など、ややネガティブなイメージが根強く、それが大きな障壁になっています。

ただ、さまざまなSNSの発展を契機に、若い世代を中心に徐々にイメージが変わってきているのも感じています。そうした流れを研究にもうまく活用していきたいです。

また、リテラシーの問題も大きく、教えてもらう機会がないから、何をやったらいいか分からないという人が大半です。歩くのは誰でもできますが、筋トレは誰かに教えてもらわないとなかなかできません。そこで、学校教育や職場の新人研修などに筋トレ講座を取り入れられたら面白いなと思っています。



これから研究者として目指すものがありますか?

ここから5年は精力的に論文執筆、学会発表を行い、10年後には研究活動だけでなく、社会への影響力をもつこともひとつの目標です。

自分の根底には、「運動・スポーツを、一部のアスリートのためだけのものではなく、運動から縁遠くなりがちな方がたと共有できるものにしたい」という信念があります。世のなかには運動嫌いと言われる方もたくさんいるので、そうした皆さんに、少しでも運動の良さを感じてもらいたい、運動の”おすそ分け”をしたい、という思いが今の原動力となっています。

筋トレという、ある意味“きつさの象徴”のようなものを研究テーマとするのは、かなりチャレンジングですが、筋トレの垣根を低くして、誰もが自分の身体づくりを積極的に楽しめるような、そんな理想的な世界をイメージしています。それで少しでも筋トレを始める人が増えれば、研究者としてこれ以上のことはないだろうと思います!
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