研究所レポート
2025年7月17日
藤井研究員が第27回日本運動疫学会学術総会で優秀ポスター賞を受賞しました
第27回日本運動疫学会学術総会において、当研究所の藤井研究員が筋力トレーニングに関する研究成果を発表し、優秀ポスター賞を受賞しました。
1) 発表演題:筋力トレーニングの実施時間と心血管代謝リスクとの量反応関係~成人2万人の健診コホートデータによる横断的検討~
2) 発表者:藤井悠也、北濃成樹、川上諒子、和田彩、甲斐裕子、丸尾和司、荒尾孝
3) 目的:成人において、①筋力トレーニング実施時間と心血管代謝リスク(高血圧、高血糖、脂質代謝異常)との量反応関係を明らかにすること、ならびに②トレーニング強度によってその関連が異なるかを検証すること
4) 対象:MYLSスタディ®(明治安田ライフスタイル研究)に参加した21,612名(平均年齢46.5歳)
5) 調査項目:
・1週間の筋力トレーニング実施時間、自覚的運動強度(質問票)
・高血圧、高血糖、脂質代謝異常の有無(健康診断結果)
近年、「健康づくりのための身体活動・運動ガイド」が改訂され、新たに「週2–3日の筋力トレーニング」が推奨されるようになりました。しかし、この推奨値は主に欧米の研究に基づくものであり、日本人における最適な筋力トレーニングの量や上限値については、まだ十分にわかっていません。また、トレーニングの「量」だけでなく「強度」が健康効果にどう影響するかも未解明な点でした。そこで本研究では、日本人成人2万人の大規模なデータを活用し、心血管代謝リスクを下げるために最適な筋力トレーニングの時間や強度について検討しました。
分析の結果、以下の可能性が示されました。
1) 高血圧や高血糖のリスクは、筋力トレーニングを週30~60分行う場合には実施時間に比例して低下し、それ以上実施する場合は横ばいになる傾向がありました。
2) トレーニングの時間が長すぎることによる健康リスクの上昇(やりすぎによる悪影響)は見られませんでした。
3) 高血圧に対しては低強度、高血糖に対しては高強度のトレーニングが良好に関連することが分かりました。つまり、運動強度により健康に及ぼす影響が異なる可能性が示されました。
本研究の結果から、健康づくりのための筋力トレーニング推奨量を考える上で、頻度だけでなく時間や強度が重要である可能性が示唆されました。今後は長期的な追跡調査によって、今回得られた新たな知見を厳密に検証していく必要があります。
運動疫学の第一線で活躍される先生方が集う、憧れの学会でこのような賞をいただけて、身に余る光栄です。
私自身も筋トレが好きなのですが、「どれくらいやれば健康に対して効果的なんだろう?」という素朴な疑問がこの研究の出発点でした。まだまだ未開拓な部分も多い筋トレの疫学研究ですが、今回の受賞で「この分野をもっと面白いものにしていき盛り上げていきたい!」と改めて強く感じています。
今回の受賞は、日々の研究を支えてくれている研究所の仲間たち、そして共著者の先生方のおかげです。この賞を励みに、これからも皆さんの健康づくりに役立ち、ワクワクするような研究を、研究所一丸となってお届けできるよう精一杯頑張ります!
MYLSスタディは明治安田新宿健診センターによる協力のもと実施されています。同センター受診者ならびに職員の皆様にも心より御礼申しあげます。

藤井研究員についてはこちら。
研究の概要
1) 発表演題:筋力トレーニングの実施時間と心血管代謝リスクとの量反応関係~成人2万人の健診コホートデータによる横断的検討~
2) 発表者:藤井悠也、北濃成樹、川上諒子、和田彩、甲斐裕子、丸尾和司、荒尾孝
3) 目的:成人において、①筋力トレーニング実施時間と心血管代謝リスク(高血圧、高血糖、脂質代謝異常)との量反応関係を明らかにすること、ならびに②トレーニング強度によってその関連が異なるかを検証すること
4) 対象:MYLSスタディ®(明治安田ライフスタイル研究)に参加した21,612名(平均年齢46.5歳)
5) 調査項目:
・1週間の筋力トレーニング実施時間、自覚的運動強度(質問票)
・高血圧、高血糖、脂質代謝異常の有無(健康診断結果)
研究の背景・目的
近年、「健康づくりのための身体活動・運動ガイド」が改訂され、新たに「週2–3日の筋力トレーニング」が推奨されるようになりました。しかし、この推奨値は主に欧米の研究に基づくものであり、日本人における最適な筋力トレーニングの量や上限値については、まだ十分にわかっていません。また、トレーニングの「量」だけでなく「強度」が健康効果にどう影響するかも未解明な点でした。そこで本研究では、日本人成人2万人の大規模なデータを活用し、心血管代謝リスクを下げるために最適な筋力トレーニングの時間や強度について検討しました。
研究の成果
分析の結果、以下の可能性が示されました。
1) 高血圧や高血糖のリスクは、筋力トレーニングを週30~60分行う場合には実施時間に比例して低下し、それ以上実施する場合は横ばいになる傾向がありました。
2) トレーニングの時間が長すぎることによる健康リスクの上昇(やりすぎによる悪影響)は見られませんでした。
3) 高血圧に対しては低強度、高血糖に対しては高強度のトレーニングが良好に関連することが分かりました。つまり、運動強度により健康に及ぼす影響が異なる可能性が示されました。
本研究の結果から、健康づくりのための筋力トレーニング推奨量を考える上で、頻度だけでなく時間や強度が重要である可能性が示唆されました。今後は長期的な追跡調査によって、今回得られた新たな知見を厳密に検証していく必要があります。
藤井研究員 受賞のコメント
運動疫学の第一線で活躍される先生方が集う、憧れの学会でこのような賞をいただけて、身に余る光栄です。
私自身も筋トレが好きなのですが、「どれくらいやれば健康に対して効果的なんだろう?」という素朴な疑問がこの研究の出発点でした。まだまだ未開拓な部分も多い筋トレの疫学研究ですが、今回の受賞で「この分野をもっと面白いものにしていき盛り上げていきたい!」と改めて強く感じています。
今回の受賞は、日々の研究を支えてくれている研究所の仲間たち、そして共著者の先生方のおかげです。この賞を励みに、これからも皆さんの健康づくりに役立ち、ワクワクするような研究を、研究所一丸となってお届けできるよう精一杯頑張ります!
MYLSスタディは明治安田新宿健診センターによる協力のもと実施されています。同センター受診者ならびに職員の皆様にも心より御礼申しあげます。
藤井研究員についてはこちら。