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研究所レポート

北濃研究員が第25回日本運動疫学会学術総会で優秀演題賞を受賞しました

第25回日本運動疫学会学術総会において、当研究所の北濃研究員がMYLSスタディに関する研究成果を発表し、優秀演題賞を受賞しました(中京大学にて6月24~25日開催)。

研究の概要


1) 発表演題:健康状態やwell-beingを最適化する1日の身体行動バランス:組成データ解析に基づく横断研究
2) 発表者:北濃成樹、藤井悠也、川上諒子、甲斐裕子、荒尾孝
3) 目的:勤労者における、健康・well-being指標を最適化する1日の行動バランスを包括的に検討すること
4) 対象:MYLSスタディにおける研究対象者のうち2017~2022年に健康診断を受けた勤労者3,985名
5) 調査項目:
  ・座位行動、低強度・中高強度身体活動(3軸加速度計による評価)
  ・心血管代謝系の総合的な健康状態(健康診断結果)
  ・睡眠時間、心理的ストレス、幸福感、ワーク・エンゲイジメント(調査票による評価)

研究の背景・目的


私たちの1日は座っている時間(座位行動)、身体を動かしている時間(身体活動)、睡眠時間で構成されていますが、1日は24時間と限られているので、ある行動を増やせば別の行動を減らす必要があります。例えば、健康のために身体活動(ウォーキングなど)を増やそうとする場合、その分、座位行動(テレビ視聴など)や睡眠時間を減らさなければなりません。

近年はこうした「相互依存性」を考慮した研究が増えていますが、健康づくりやwell-being、いわゆる「心身ともに満たされた状態」の視点からみた「最適な24時間の行動バランス」については依然として不明な点が多いのが現状です。そこで我々は、心身の状態を好ましく保つためには1日をどのように過ごせば良いか、勤労者のデータを用いて、24時間の行動バランスについて検討しました。

研究の成果


分析の結果、以下の可能性が示されました:
1) 1日24時間のうち、座位行動が少なく、身体活動が多いことが、心血管代謝系の総合的な健康状態が良好であることと関連する。
2) 1日24時間のうち、座位行動が少なく、睡眠時間や低強度身体活動(家事やゆっくりした歩行)が多いことが、幸福感やワーク・エンゲイジメント(仕事への活力)が高いことと関連する。
3) 1日24時間のうち、低強度身体活動ではなく、中高強度身体活動(通常速度の歩行や運動)や睡眠時間が多いことが、心理的ストレスの低さと関連する。

北濃研究員 受賞のコメント


日本運動疫学会は、運動や身体活動に関する疫学や健康づくりを専門にする研究者が一堂に会する学会です。当日は、周りの先生方の発表テーマやプレゼンテーションが素晴らしかったので、正直、受賞できるとは思っていませんでした。そのため、より一層、喜びが大きな受賞となりました。

1日は24時間しかありません。そこで私自身が「健康や幸せを最大化するにはどのように過ごすと良い・効率的なのか?」と疑問に思ったことが、本研究の発端です。今回、健康やwell-beingのどの側面を優先するかによって、どの行動を増やす(減らす)べきかが変わってくることがわかりました。今後は本研究で得られた関連性の因果関係を明らかにし、それぞれが大切にする側面に応じた24時間の過ごし方の目安を作っていければと思います。

MYLSスタディは明治安田新宿健診センターによる協力のもと実施されています。同センター受診者ならびに職員の皆様に心より御礼申しあげます。



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