公益財団法人 明治安田厚生事業団

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健康づくりウォッチ

脳のために「私限定!の運動」を見つけよう

脳の健康を意識したことはありますか?元気な身体を維持するためにも、「脳の健康」を保つことが大切です。脳の健康維持をめざして「私」視点の運動を見つけてみませんか?

習慣的な運動はもちろん!一回の運動でも脳の健康にはプラス


「脳の健康」と聞くと「認知症にならない脳」と思う方も多いのでは?病気にならないことも大切ですが、脳が司る働きは多様です。集中力、記憶力、判断力などの認知機能はもちろん、気分や感情など「心」をコントロールするのも脳の役目です。

これまでの研究から、定期的な運動がアルツハイマー型認知症の予防や認知機能の向上に効果的であることがわかっています。また、「1回」の中強度運動(心拍数が140拍前後)でも、認知機能の評価テストで反応時間が短くなることが科学的に証明されています。さらに、身体活動量が低い場合、ヨガの呼吸法を取り入れたストレッチ運動でも一時的な気分の改善や認知機能の向上がみられました。

一方で、運動による脳機能への効果は、強度や時間によって結果が異なることが課題でした。では、なぜ一致しないのでしょうか?

高強度、有酸素運動「1回」実施の効果は人によって異なる?


運動はなぜ脳機能に効果的な影響を及ぼすのでしょうか?これまでの研究から、運動により生体内で多様な変化が誘発されることで、脳内神経活動が活性化し、認知機能が向上すると考えられています。

認知機能に効果的な運動条件として「1回高強度」の有酸素運動が証明されていますが、統一見解ではありません。そこで、どのような要因が「運動の効果」に関連しているのかについて、40件の学術論文による検証を行いました。

その結果、研究の方法論の他に、運動実施者の体力レベル、運動時間、年齢などにより、運動の効果が異なることがわかりました。さらに、脳の血流変化、酸素レベル、代謝機能、神経活動に関わる物質(神経伝達物質/神経栄養因子)といった生理学的な因子も「運動の効果」に関与していることが示されました。また、心理的な要因も関係しているようです。これらの要因は、日常的な運動実施においても注意すべきポイントかもしれません。
生活習慣や環境などの変化とともに、いろんな運動に挑戦して「脳の健康」を維持するための効果的な「私限定!の運動」を探してみませんか?

【参考文献】Sudoら,Frontiers in Behavioral Neuroscience(2022)




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著者
須藤 みず紀 Sudo Mizuki
公益財団法人 明治安田厚生事業団
体力医学研究所 副主任研究員

専門分野 運動生理学
主な研究テーマ 健康増進に資する身体活動と脳-骨格筋の相互連関の解明
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