健康づくりウォッチ
2022年11月14日
体組成計で筋量不足を簡易チェック
サルコペニア診断における筋量評価の指標には四肢筋量が採用されており、専門的な機器による測定が必要です。私たちの研究では、家庭用体組成計でも簡易的に筋量不足を評価できる指標がないか検討しました。
サルコペニアってなに?
筋量や筋力が低下した状態を「サルコペニア」といいます。サルコペニアは、筋力トレーニングなどによって予防・改善が可能であるため、何らかの身体的な障がいが発生してしまう前のなるべく早い段階で発見することが重要です。サルコペニアの診断には二重エネルギーX線吸収測定法(DXA法)などの専門的な測定装置で両腕と両脚の筋肉量(四肢筋量)を測定する必要がありますが、コストや時間などの問題があり、ハードルが高いといえます。
家庭用体組成計で筋量不足をチェックしてみましょう
そこで私たちの研究では、ご家庭でも広く使われているタイプの体組成計でも測定が可能な除脂肪量(体重から体脂肪量を差し引いた値)に着目し、簡易に筋量不足を評価できるか検討しました。その結果、サルコペニアの筋量指標である四肢筋量(kg)/身長(m)2は、除脂肪量(kg)/身長(m)2と強く相関することが確認され、除脂肪量が四肢筋量の代替指標となり得ることが示唆されました(図)。
さらに試算の結果、除脂肪量/身長2の値が、男性で18kg/m2未満、女性で15kg/m2未満の場合に、サルコペニアの筋量不足に該当する可能性が高いことが示唆されました。
ご家庭にある体組成計で体脂肪率が計測できれば、除脂肪量が計算できます。ご自身の筋量が不足していないか、チェックしてみましょう。
【出典】Kawakamiら, Journal of the American Medical Directors Association (2022)
※PDF版はこちら
著者
川上 諒子 Kawakami Ryoko
公益財団法人 明治安田厚生事業団
体力医学研究所 研究員
専門分野 運動疫学
主な研究テーマ 健康づくりのための身体活動・体力、身体活動・体力・筋量の評価法、スポーツ観戦の健康効果
川上 諒子 Kawakami Ryoko
公益財団法人 明治安田厚生事業団
体力医学研究所 研究員
専門分野 運動疫学
主な研究テーマ 健康づくりのための身体活動・体力、身体活動・体力・筋量の評価法、スポーツ観戦の健康効果