公益財団法人 明治安田厚生事業団

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健康づくりウォッチ

運動によりポジティブ気分が高まると、認知機能が向上する?

運動は前頭前野を活性化し認知機能を高めます。今回の研究では、音楽を聴きながら運動すると、さらにポジティブな気分が高まり、認知機能への効果が高まる可能性が示されました。

一過性の運動で高まる認知機能には気分が関連する?


運動が、判断力や計画力を担う前頭前野を活性化させて認知機能を高めることがわかっています。しかし、このような効果が報告されても、なかなか運動の実施・継続は困難です。運動を継続するためには、ポジティブ気分が増加することが重要であると言われています。また、前頭前野は、認知機能だけでなく気分の調節にも関与している場所であることから、運動によるポジティブ感情の増加は、認知機能をより向上させる可能性があります。つまり、運動により、ポジティブ気分が高まると、運動継続性を高め、認知機能にもより効果的かもしれません。



運動して活気が上がるほど脳機能向上


そこで、楽しく運動してもらうために音楽に着目し、好きな音楽に合わせて運動すると、ポジティブ気分が高まり、脳機能が向上するのかを検証しました。大学生を対象に、メトロノームを聞きながら中程度 (ややきつい程度の強度) の自転車運動を行う場合と、好きな音楽を選んでもらい、その音楽を聞きながら同じ強さの自転車運動を行う場合で、そのあとの気分や前頭前野の機能を評価する認知課題成績、認知課題中の脳活動がどのように変化するかを調べました。その結果、好きな音楽を聞くと運動後の心理的活気得点が高まり、活気得点が高まった人ほど、前頭前野の脳活動と認知課題の成績が高まっていました。

今回は音楽を使いましたが、楽しく運動できる環境づくりが認知機能への効果をより高める策かもしれません。



【出典】諏訪部, 兵頭ら,Neuroscience(2021)


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著者
兵頭 和樹 Hyodo Kazuki
公益財団法人 明治安田厚生事業団
体力医学研究所 研究員

専門分野 運動生理学、認知神経科学
主な研究テーマ 運動が高齢者の認知機能に与える効果とその脳機構
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