公益財団法人 明治安田厚生事業団

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健康づくりウォッチ

高頻度短時間のスローエアロビックで若返り!

年をとっても元気でいるためには、日々の身体活動を高めることが重要です。
自宅で気軽に続けられる軽体操が高齢者の身体機能に与える効果を検証しました。

オンラインを活用して自宅で軽体操を継続


高齢になると、体力の低下や関節の痛みなどにより、強度の高い運動を続けることが難しくなります。また、外出の機会が減り身体を動かす時間が減ってしまう人も多いようです。

そこで私たちの研究では、高齢者に12週間、自宅からオンライン体操教室に参加してもらい、その健康効果を検証しました。運動プログラムには、高齢者でも安心して続けられるよう設計された「スローエアロビック®」を採用しました。スローエアロビックは音楽に合わせて楽しく実践できる軽体操で、体幹をひねったり胸を開いたりする動きを中心に構成されています。
図1. オンライン体操教室

※「スローエアロビック」は公益社団法人日本エアロビック連盟の登録商標です

12週間のスローエアロビックで最大歩行速度が向上


60歳以上の高齢者81名を対象に、平日(祝日を除く月曜~金曜)毎朝20分間、スローエアロビックを12週間実施するグループと、通常の生活を送ってもらうグループに振り分け、12週間の教室前後に、身体機能や体組成などを測定しました。 両方のグループで測定したデータの変化を分析した結果、体操教室に参加したグループは、通常生活を送ったグループに比べて最大歩行速度が0.10m/秒向上していました。
図2. 体操教室前後における最大歩行速度の変化

最大歩行速度は「出来るだけ速く」歩く際の速度のことで、転倒リスクとの関連性があると言われています。更に日本人高齢者の平均歩行速度のデータに基づき試算したところ、 0.10m/秒の向上は約7年分の歩行能力低下を取り戻す効果に相当することが分かりました。軽い運動でも毎日続けることで、体幹の柔軟性や歩く時のバランスが高まり、歩行速度の向上につながったと考えられます。

激しい運動が難しい方でも、音楽に合わせて身体を動かすことで、体を動かす力や歩く力を維持できる可能性が示されました。自宅でできる「朝の20分」を健康づくりの新しい習慣として取り入れてみませんか。

【出典】渡邊, 兵頭ら. BMC geriatrics (2025)


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著者
兵頭 和樹 Hyodo Kazuki
公益財団法人 明治安田厚生事業団
体力医学研究所 副主任研究員

専門分野 運動生理学、スポーツ神経科学
主な研究テーマ 運動が高齢者の認知機能に与える効果
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