公益財団法人 明治安田厚生事業団

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健康づくりウォッチ

妊娠中に身体を動かすことのメリット

近年の研究から、妊娠中の運動は、妊婦だけでなく子どもにも好影響を与える可能性が示されました。

妊娠中の運動は子どもの健康にもプラス?!


妊娠中に定期的に身体を動かすと、妊娠合併症のリスクが軽減することが報告されています※1。また、座位時間を減らすだけでも、産後うつや妊娠糖尿病のリスクが軽減する可能性が示唆されています※2。これらを踏まえ、WHOでは禁忌のない妊婦に対し、少なくとも週150分の中強度の有酸素性の身体活動(ウォーキング等)を推奨し、座位時間を身体活動に置き換えることを勧めています。

マウスを対象とした近年の研究では、妊娠中の運動が子どもの代謝機能を向上させること、さらに妊婦の食生活の乱れが子どもの代謝機能に与える悪影響を打ち消す可能性が示されています※3。妊娠中に身体を動かすことは、妊婦自身の健康はもちろんのこと、子どもの生涯にわたる健康にも好影響をおよぼすかもしれません。

【出典】
※1 Dipietroら, Medicine & Science in Sports & Exercise(2019)
※2 Osumiら, Reproductive sciences(2024)
※3 Harristら, Trends in endocrinology and metabolism(2018)

事務職は座位行動のブレイクを意識


私たちの研究では、およそ2万人の妊婦のデータを用いて、妊娠中の身体活動の実態について分析しました※4。すると、妊娠中に中強度以上の身体活動に費やした時間は、妊娠前と比較して90分/週減少していることがわかりました(図1)。ほかの研究からは、妊婦の約半数が、医師の指示がなくても安静にしていたことが報告されています※5。体調が優れない場合もあるかもしれませんが、妊娠を機に無意識に身体活動が減ってしまう状況があるのかもしれません。
図1 妊娠前および妊娠中期の身体活動・座位時間

職種別にみると、事務職の身体活動時間が最も短く、座位時間が最も長いことがわかりました(図2)。事務職は妊娠中も続けやすい職種と思われがちですが、長時間同じ姿勢でいると、お腹が張りやすくなる場合もあるので、まずは意識的に座位を中断するように心がけましょう。また、周囲もそのことに理解を示したいものです。
図2 職種別の妊娠中期の身体活動・座位時間


【出典】
※4 和田ら, 第84回日本公衆衛生学会総会(2025)
  この研究は東北メディカル・メガバンクの分譲を受けた調査票データを用いて実施されました(研究番号2023-0053)
※5 田中ら, 第27回日本運動疫学会学術総会(2025)


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著者
和田 彩 Wada Aya
公益財団法人 明治安田厚生事業団
体力医学研究所 研究員

専門分野 ウィメンズヘルス、看護学
主な研究テーマ 女性の健康課題と就労との両立
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