公益財団法人 明治安田厚生事業団

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健康づくりウォッチ

少し高めの強度の活動で脱フォアグラ

脂肪肝の予防には体を動かすことが大切ですが、どんな活動をどのくらい行うとよいのでしょうか?最新の研究成果を基に解説します。

身近で怖い脂肪肝…


脂肪肝とはその名のとおり肝臓に脂肪が蓄積し、フォアグラ状態になる病気のことです。健康診断では約3人に1人が脂肪肝と判定されるほど一般的な疾患で、このほとんどは食生活や不活動に起因する非アルコール性脂肪肝です。「私は痩せてるから大丈夫」と思っているあなた!じつはアジア人では肥満ではない方の非アルコール性脂肪肝が多いこともわかっており、油断は禁物です。放っておくと糖尿病や肝炎・肝硬変へと増悪する可能性があるため、健康的な食生活とあわせて、日々しっかりと体を動かし予防することが大切です。とは言っても、具体的にどのような活動が効果的なのでしょうか?

座っている時間を1時間減らして歩行や運動に充てると脂肪肝である可能性が2割減


私たちの研究では、成人1914名を対象に、普段の活動状況を高精度に評価できる活動量計と呼ばれる機器を使って、この点を検討しました。その結果、統計学的予測により、座っている時間を1日60分減らして中高強度活動(歩行や運動など)に充てると、非アルコール性脂肪肝である可能性が22%減少すると試算されました。



また、だいたい1日1時間を上限に、中高強度活動を増やせば増やすほど、非アルコール性脂肪肝である可能性が低くなることがわかりました。一方、低強度活動(家事やゆっくり歩行)では脂肪肝に対する明確な抑制的関連性は認められませんでした。


【出典】Tsunoda, Kitanoら, Alimentary Pharmacology & Therapeutics(2021)


残念ながら非アルコール性脂肪肝の予防には少し高めの強度の活動が必要のようです。ただ、運動に苦手意識のある方や時間のない方も、少し大股に歩く、階段を使う、一駅分歩く等、日常生活にたくさんチャンスは眠っています。フォアグラにならないよう、今日からできることを始めましょう!

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著者
北濃 成樹 Kitano Naruki
公益財団法人 明治安田厚生事業団
体力医学研究所 研究員

専門分野 スポーツ科学、睡眠医学、疫学
主な研究テーマ 身体活動や運動による睡眠改善と不眠予防、睡眠が心身の健康に及ぼす影響
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