公益財団法人 明治安田厚生事業団

お問い合わせ

  • 公益財団法人 明治安田厚生事業団 03-3349-2741(代表)
  • 体力医学研究所 042-691-1163
  • ウェルネス開発室 03-3349-2741

平日9:00~17:00(年末年始、祝休日を除く)

健康づくりウォッチ

仲間との交流は、心の健康づくりに効果的?

運動教室は仲間との交流を通じて、心の健康づくりにも効果的と考えられます。今回は交流の多寡とその効果について考察しました。

教室内での交流の仕方は、人によってさまざま


高齢者を対象とした運動教室が各地で展開されていますが、教室内で参加者同士がどのような関係性を構築しているか、さらには教室内での交流が教室参加による心理的効果にどのような影響を与えるかについては不明です。

そこで私たちは、地域在住高齢者18名を対象に8週間の運動教室を開催し、教室開始4週間後および8週間後における仲間との関係性についてネームジェネレーター方式による調査を用いて可視化しました(図1)。

その結果、①教室内での交流の豊富さは人によって異なる、②交流の豊富さは時間によって変化する、③時間が経つにつれて教室内でのクラスター化が加速する(関係が密になる)ことなどが明らかになりました。

注 ネームジェネレーター方式とは、回答者が質問に当てはまる人物を想起し、上位数名の名前を回答する方法です。今回の調査では、「教室内でよく一緒にお話しされる方はどなたですか?」という質問を用いて、最大5名までの回答を得ました。


図1 教室内のネットワーク構造


仲間との交流が豊富なほど、教室参加の心理的効果が高い


仲間との交流と心理的指標の相関を見ると「教室内で仲間との交流が豊富な人ほど、教室参加の心理的効果が高い」ことが明らかになりました(図2)。

図2 仲間との交流と心理的指標の変化量の関連


これにより、集団での運動教室を実施する際、「いかに参加者同士の交流を促すか」が心理的効果を高めるうえで重要である可能性が示されました。

コロナ禍においては、オンラインシステムを用いた運動教室なども展開されていますが、こうしたなかでも、交流の機会を上手に設けることが、重要な視点になるかもしれません。

ぜひ皆さんも、仲間と積極的に交流を図りながら楽しく運動をしていきましょう!

【出典】 藤井ら,第35回若手研究者のための健康科学研究助成 成果報告書(2020)


※PDF版はこちら

著者
藤井 悠也 Fujii Yuya
公益財団法人 明治安田厚生事業団
体力医学研究所 研究員

専門分野 応用健康科学、運動疫学
主な研究テーマ 運動やつながりを介した健康づくり
ページの先頭へ戻る▲