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研究所レポート

第74回日本体力医学会大会で発表

日本体力医学会は、「体力ならびにスポーツ医科学に関する研究の進歩、発展の促進」という先駆的な目的を掲げて戦後間もなく創設された学会であり、体力科学の分野では最大規模の学会です。本年度の学会大会は茨城県つくば市で開催され、当研究所は、招待講演3件、口頭発表3件、ポスター発表2件で研究成果を発表しました。


甲斐主任研究員のシンポジウムでの発表の様子

学会情報


学会名
第74回日本体力医学会大会

日程
2019年9月19日~21日

開催地
茨城県

招待講演


甲斐裕子、北濃成樹、 神藤隆志

シンポジウム「職域における身体活動・運動と健康経営・働き方改革」
労働者の座りすぎと健康-ワークスタイルのスポーツ化への挑戦-


本シンポジウムは、健康経営や働き方改革に関する身体活動・運動に関するエビデンスを整理し、今後の体力医科学が貢献すべき方向性を議論するために企画されました。甲斐主任研究員は座長を務めるとともに、「座りすぎ」についての話題を提供しました。勤労者の座りすぎの健康影響を概説し、当研究所で行っている座りすぎ解消のための介入研究を中心に紹介しました。総合討論では「企業を巻き込むコツ」や「合併等による中断への対処」等、研究と実践の垣根を超えたディスカッションができました。

※「健康経営」は特定非営利活動法人健康経営研究会の登録証標です。



兵頭和樹

シンポジウム「筋・血管・脳の観点から老化の機構と防止方法を考える~加齢性疾患を克服するための運動・食事処方の探索~」
認知機能の老化を防ぐ運動処方を考える


加齢による身体・脳の老化は、筋量の減少(サルコペニア)、心疾患、動脈硬化、認知症など様々な疾患を発症させます。一方、そのような加齢性疾患に対して、運動療法や食事処方が有効な効果を発揮することが報告されています。本シンポジウムでは、筋・血管・脳の加齢性疾患の予防方法について運動、食事の観点から総合的に議論することを目的に企画されました。
私は、加齢による認知機能低下のメカニズム、高齢者の認知機能を高めるための運動条件(強度や、様式など)やその脳内メカニズム(脳の構造、機能的変化)に関して、先行研究や私のこれまでの研究をまとめて報告しました。
兵頭研究員のシンポジウムでの発表の様子



甲斐裕子

シンポジウム「身体活動の普及戦略-最新のエビデンスと研究の実際-」
住民による「運動の場づくり」が地域全体の高齢者の運動習慣に与える効果-ポピュレーションアプローチによる「運動格差」縮小に挑む-


いまや運動不足は世界中に蔓延しています。国や地域全体で運動実践率を向上させ、身体活動を促進するには、普及のための戦略が必要です。本シンポジウムは、こうした普及・ポピュレーション戦略に関する国内外のエビデンスを整理し、今後、日本でどのような取り組みや研究が求められるかを議論するために企画されました。私は、「運動の場づくり」の効果を「運動格差」の観点も含めて解説しました。総合討論では、研究を実践する上での課題・ポイントについてディスカッションができました。

口頭発表

甲斐裕子、 北濃成樹、 神藤隆志、 角田憲治、 荒尾孝

客観的に測定された座位行動と主観的幸福感の関係:MYLSスタディ


座りすぎは、抑うつ等のメンタルヘルス悪化のリスクとなることが知られています。一方、メンタルヘルスには、幸福感などのポジティブな面がありますが、座りすぎとの関連は検証されていません。そこで、MYLSスタディ®の対象者を分析したところ、1日の座位時間が長いと主観的幸福感が低いことがわかりました。


北濃成樹、甲斐裕子、神藤隆志、角田憲治、荒尾孝

勤労者における座位行動から身体活動への置き換えとメンタルヘルスの横断的関連性:MYLSスタディ


勤労者の1日の時間の使い方とメンタルヘルスは関連するのでしょうか?今回、MYライフ・ドック®のデータから、勤労者においては、休日ではなく、平日の行動の仕方がメンタルヘルスと関連することを明らかにしました。具体的には、平日に座位時間を60分減らして、睡眠を60分増やすと、心理的ストレスや仕事への活力低下を有する可能性が10~20%程度低値を示すことがわかりました。


神藤隆志、甲斐裕子、北濃成樹、牧島満、齋藤弾、武田浩二、荒尾孝

上下昇降デスクとactivity based workingを取り入れたオフィスへの移転に伴う勤労者の身体活動と座位行動、心血管代謝疾患リスクの変化


勤労者が一日の大半を過ごすオフィス環境は、健康行動や健康状態への影響が大きいことが予想されますが、十分に検討されていません。そこで本研究では、新しいオフィスへの移転に伴って座位行動や身体活動、心血管代謝疾患リスクがどのように変化するかを検討しました。移転先オフィスでは、立って作業できる上下昇降デスクや、気分や作業内容に応じて場所を選びながら仕事に取り組めるactivity based workingという働き方が導入されました。その結果、座位行動と身体活動の改善が認められ、心血管代謝疾患リスクの低減も確認されました。

ポスター発表

須藤みず紀、安藤創一

異なる条件における豊かな環境暴露による身体活動量と不安様感情の関係性


本研究では、自発的な身体活動量を向上させる環境において、どのような動きが感情に影響を及ぼすのかを検証しました。ラットを対象に、遊具やホイール(回し車)の有り無しによる4条件の環境を設置し、6週間の飼育後に行動実験による「不安感」を検証したものです。その結果、身体活動量はホイール設置条件にて向上しましたが、遊具のみ条件では対照群との差がみられませんでした。一方で、「不安感」は自発的な運動を促す環境3条件において有意に低下しました。自発的な動きによるメンタルヘルスへの効果がポジティブであることを示唆したものと考えられます。


兵頭和樹、 徳田達也、 神藤隆志、 新岡陽光、 檀一平太、 征矢英昭

有酸素能力の高い高齢者はワーキングメモリ課題中の前頭前野間の機能的コネクティビティが高い:近赤外線分光法を用いた検討


有酸素能力の高い高齢者は、ワーキングメモリ(前頭前野が主に担う、情報を一時的に記憶し操作する認知機能:WM)が高いことが報告されています。高齢者は若者に比べて、左脳と右脳を両方使うことでWMを維持することが報告されていますので、有酸素能力の高い高齢者はWM課題中の左脳と右脳の結びつきが強い可能性があります。
本研究で私たちは、近赤外光脳機能イメージング装置を用いて、有酸素能力の高い高齢者ほど、WM課題中の前頭前野の半球間機能的コネクティビティ(左脳と右脳でどれだけ同じように活動が起こっているか)が高いことを明らかにしました。
須藤研究員(左)、北濃研究員(右上)、神藤研究員(右下)の発表の様子


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