公益財団法人 明治安田厚生事業団

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健康づくりウォッチ

心臓の声に耳を傾けて生活習慣改善を

自律神経系は心臓の働きをコントロールしている


体はじっとしていても、心拍数は増えたり減ったりと常に一定ではないことをご存じでしょうか?これは自律神経系が心臓の働きをコントロールしているために生じる現象です。自律神経系は交感神経系と副交感神経系に分けられます。このうち、交感神経系が活性化すると心拍数は増え、副交感神経系が活性化すると減ります。このように、2つの系が互いに機能し合う(自律神経機能)ことで心拍数にゆらぎが生じるのです。自律神経機能が機能することは我々の健康にとって大変重要です。

自律神経機能はうつ病や認知機能の低下に関連している?


近年、安静時の自律神経機能が抑うつなどの精神疾患や認知機能の低下と関連することがわかってきました。ある研究によれば、うつ病の人はそうでない人よりも自律神経機能の低下がみられることが報告されています*1。また、自律神経機能の低い人は、高い人よりも脳の萎縮が大きいという報告*2もあり、認知機能の低下にも関連しています。このように、安静時の自律神経機能は心身の健康と深く関係しています。我々の健康状態を教えてくれるシグナルといっても過言ではないでしょう。

【参考文献】
*1 Gathrightら,Journal of Behavioral Medicine(2016)
*2 Weiら,Brain Research(2018)




自律神経機能を低下させないためには…


では、自律神経機能の低下を防ぐにはどうすればよいのでしょうか。低下を招く原因のひとつに、日々の心理的ストレスがあげられます。心理的ストレスの蓄積が交感神経系を常に活性化させ自律神経機能の低下を招くのです。また、認知機能の低下は抑うつと関連します。そのため、ストレスの蓄積や認知機能の低下を防ぐことが自律神経機能の低下を防ぐ鍵になります。



適度な運動は爽快感をもたらしストレス発散に効果的です。また、運動には認知機能を高める効果もあります。軽い運動にも認知機能の低下を予防する効果が期待*3されるため、運動が億劫な方には朗報でしょう。

【参考文献】
*3 Hyodoら,Frontiers in Aging Neuroscience(2021)


自律神経機能の低下を防ぐためにも、まずは軽い運動から始めてみてはいかがでしょうか。ストレスを発散し認知機能低下を防いで、健康的な自律神経機能が手に入るかもしれません。

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著者
山口 大輔 Yamaguchi Daisuke
公益財団法人 明治安田厚生事業団
体力医学研究所 研究技術員

専門分野 実験心理学、精神生理学
主な研究テーマ 行動経済学的観点を用いた身体活動・運動促進
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