研究所レポート
2026年9月15日
【共同研究の成果公表】日本の子どもの握力は世代を追うごとに低下―57年間・約116万人の全国データから明らかに―
城所客員研究員(兼 日本体育大学 体育学部 准教授)との共同研究の成果が、国際学術誌「American Journal of Preventive Medicine」に掲載されました。本研究は、日本体育大学、体力医学研究所、国立成育医療研究センター、順天堂大学の研究者に加え、オーストラリア、カナダ、フィンランドの研究者が参画する国際共同研究として実施されました。当研究所の北濃副主任研究員が主にデータ解析を担当しました。
本研究では、1967年から2023年までの57年間にわたる全国体力調査*のデータを用いて、10~17歳の日本人の子ども約116万人の握力が、時代や世代によってどのように変化してきたのかを分析しました。その結果、日本の子どもの握力は過去57年間で低下しており、特に1990年代以降、顕著に低下し続けていることが明らかになりました(図1)。

図1. 1967~2023年の握力の推移(1998年を100%とした場合)
さらに本研究では、1960年生まれから2005年生まれまでの異なる世代について、10歳から17歳までの握力の変化を比較しました。その結果、最近生まれた世代ほど、成長に伴う握力の発達速度が小さいことが明らかになりました(図2)。つまり、現在の子どもたちは、過去の世代と比べて握力が低いだけでなく、成長に伴う握力の発達速度も小さく、その差は思春期になるにつれてさらに大きくなることが示されました。

図2. 異なる世代における10~17歳の握力の発達
今回の研究から、子どもの握力が顕著に低下していることが明らかになりました。握力は全身の筋力を反映する指標であり、これまでの研究では、握力の低い人ほど将来の病気の発症や死亡リスクが高いことも報告されています。子どもの握力が世代を追うごとに低下していることは、将来の健康を考えるうえで見過ごせない変化です。
握力低下の背景として、真っ先に急速なライフスタイルの変化が思い浮かびます。特に近年は、ゲームやスマートフォンなどの利用時間が長くなることで外遊びやスポーツに取り組む時間が減少していることの影響などが考えられます。また、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う外出や活動機会の制限に加え、昨今では気候変動による気温上昇や猛暑の増加など、子どもを取り巻く環境はますます厳しくなっています。
「現在の子ども」は「将来の大人」であり、子どもの健康増進は、未来の社会全体における健康増進に寄与します。子どもの体力低下を社会全体の健康課題として捉え、子どもの時期から十分に身体を動かし、筋力を育む環境を整えていくことが必要だと考えています。
本研究では、1967年から2023年までの57年間にわたる全国体力調査*のデータを用いて、10~17歳の日本人の子ども約116万人の握力が、時代や世代によってどのように変化してきたのかを分析しました。その結果、日本の子どもの握力は過去57年間で低下しており、特に1990年代以降、顕著に低下し続けていることが明らかになりました(図1)。
* 全国体力調査:国民の体力・運動能力の現状を明らかにするために、文部科学省(現スポーツ庁)が昭和39年から毎年実施している全国調査。
※男子では1990年頃以降に握力の低下がみられ、女子では1967年以降、一貫した低下傾向が認められました。
さらに本研究では、1960年生まれから2005年生まれまでの異なる世代について、10歳から17歳までの握力の変化を比較しました。その結果、最近生まれた世代ほど、成長に伴う握力の発達速度が小さいことが明らかになりました(図2)。つまり、現在の子どもたちは、過去の世代と比べて握力が低いだけでなく、成長に伴う握力の発達速度も小さく、その差は思春期になるにつれてさらに大きくなることが示されました。
※1960年生まれと比較して、若い世代(2005年生まれ)では、10~17歳のすべての年齢で握力が低く、その差は年齢が上がるにつれて広がることが明らかになりました。
著者のコメント
今回の研究から、子どもの握力が顕著に低下していることが明らかになりました。握力は全身の筋力を反映する指標であり、これまでの研究では、握力の低い人ほど将来の病気の発症や死亡リスクが高いことも報告されています。子どもの握力が世代を追うごとに低下していることは、将来の健康を考えるうえで見過ごせない変化です。
握力低下の背景として、真っ先に急速なライフスタイルの変化が思い浮かびます。特に近年は、ゲームやスマートフォンなどの利用時間が長くなることで外遊びやスポーツに取り組む時間が減少していることの影響などが考えられます。また、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う外出や活動機会の制限に加え、昨今では気候変動による気温上昇や猛暑の増加など、子どもを取り巻く環境はますます厳しくなっています。
「現在の子ども」は「将来の大人」であり、子どもの健康増進は、未来の社会全体における健康増進に寄与します。子どもの体力低下を社会全体の健康課題として捉え、子どもの時期から十分に身体を動かし、筋力を育む環境を整えていくことが必要だと考えています。
掲載誌:American Journal of Preventive Medicine
論文タイトル:Handgrip strength across generations: An analysis of 1,158,069 Japanese children and adolescents from 57 years of national surveillance (1967–2023)
著者:Kidokoro T, Kitano N, Imai N, Aoyama T, Suzuki K, Magnussen CG, Lang JJ, Tomkinson GR
DOI番号:10.1016/j.amepre.2026.108566
論文タイトル:Handgrip strength across generations: An analysis of 1,158,069 Japanese children and adolescents from 57 years of national surveillance (1967–2023)
著者:Kidokoro T, Kitano N, Imai N, Aoyama T, Suzuki K, Magnussen CG, Lang JJ, Tomkinson GR
DOI番号:10.1016/j.amepre.2026.108566
